ちょうど8年前、オバマ大統領の大統領選の討論会があって、相手候補から「オバマ氏は、何の実績もなく、ただ言葉に頼っているだけ」と批判されていたんです。その時にオバマ大統領が、「いやそれは違う、言葉の力を軽んじてはいけません」と返して、一気に形勢逆転したところを見て、是非、「スピーチの持つチカラ」を自分も身に付けたいと思いました。
周りの人のスピーチを聞いた時に、まったく印象に残らないという事が結構あるんですよ。でもたまに、すごく印象に残るスピーチをする人がいるんですよね。僕としても、自分が話していることが、本当に相手の心に残っているのかどうかが分かりませんでした。とにかく、「印象に残るスピーチ」をしたい!と思っていました。
キーワード、メッセージをどうするかというところが一番重要かなと。短くてもきちんと的を得た発言。スピーチするときに、何をメッセージとして残したいかを頭において話すようにしています。
発声・発音のトレーニング、声のトーン、ロジカルシンキング、パフォーマンスと基本を全てトレーニング出来たんですが、仕事で実際に話す場面でも、一つ一つ意識して実践するようにしています。
まずは、声のトーンを高くして、「こんにちは!」と言ってみたんです。自分でもびっくりしたんですが、それまでは誰も反応しなかったのが、全員が「こんにちは!」と返してくれました。それを経験したときには、これはすごいな!と思いました。
トレーニング中は、テレビのアナウンサーの話し方なども意識してチェックしていたのですが、確かに声のトーンで聞き手の注意をひきつけているなと。シンプルなことですが、とても大事な事だと分かりました。
私の場合、早口だったり、長く話してしまったりする所が課題なんですが、そういった所が改善されてきましたね。たまに「小原さんの話は分かりやすい」と言ってもらえると大変嬉しいです。
中心となるメッセージは何かをまずは考えて、あとはそれを印象深く、強調して伝える事が出来るかです。今までは準備などしていなかったのですが、ある程度考えて準備をして話をするようにしています。
そうですね。やはり会社の内外でスピーチの場面がありますが、自分のポジションとしてどういう風にメッセージを発信するか。言い換えれば、それは自分が何を考えているのか全て伝えていくことになりますし、みんながそこを注目していると思います。
もちろん、その後実行に移していくわけですが、まずは自分の思いを伝えることから始まるのではないでしょうか?
みんな「上手くなりたい」とはすごく思っていると思うんですよ。いろいろな場所で機会があれば、積極的にチャレンジをしてほしいと思います。ただ重要なのは基礎を学んだうえでどれだけ練習するか、ゴルフに例えるとグリップからフォーム、スィングを最初に学んで、その後数を打ち込むのが重要かと思います。スピーチも基本を学び、あとはいろいろな場面にチャレンジして出て行くというのが大事だと思います。
社員全員で、スピーチやプレゼンをしているときに、≪共通の言語≫で評価をし合えるというのが良いですね。「そのトーンは低いぞ」「ロジカルにまとまっていないぞ」など、同じ研修をみんなが受けているので、何が足りていないかというのが分かってお互いにチェックしあえています。
特にロジカルシンキングは重要です。英語の場合は、ロジカルに自分のメッセージを整理しておかないと、何を言っているのか途中で分からなくなる事があります。伝える順番、ロジックをきちんと準備しておく事も欠かせませんね。
国際会議で「インド人を黙らせる事、日本人をしゃべらせる事」が一番難しいと言われますが、日本人はしゃべらないですね。私もいろいろな事を考えて、なかなかしゃべれなかったりしますけれども、自分のメッセージを何にするか、何を伝えたいかをきちんと整理しておくことが、海外の場面でも話せるようになるきっかけになるのではないでしょうか?