KEE’SスピーチKIDS:乱暴な言葉は、子ども同士のコミュニケーションに必要なのか

「子どもが乱暴な言葉を覚えてきて困る。家ではそんな言葉を使っていないのに……」

お子さんの精神が成長するタイミング、特に幼稚園の年中から年長になる時期、小学生の中学年などのお子さんをお持ちの保護者の方なら、気になるポイントかと思います。

子ども達のコミュニケーションの一環として使われる、大人から見ると「乱暴」と思われる言葉。乱暴な言葉を使うことで、仲間として認められたり、一方的にいじめられている状況に反抗出来たりするので、必要なのでは?といった見方などもあると思います。

正直、言葉遣いは、そのご家庭の価値観で決定します。親が乱暴な言葉を容認する家庭では、その言葉遣いが普通ですし、親に対し、きちんと敬語を使わせる家庭もあります。

私自身も、子育てをしていく上で、子ども達同士が使うような流行りの言葉をわざと使ってみるようなコミュニケーションをすることが多々あります。

もちろん、子ども達が「乱暴」な言葉を覚えてきて使っていることもあります。そんな時は聞き耳をたてながら、どういう状況で、どんな意図で使っているかを考えて、指導すべき時はその場で指導するようにしています。

私の場合、一つのものさしは、「乱暴」な言葉を、たとえ自己を防衛する目的であっても、相手を威嚇、攻撃する時に使っているかどうか、です。

例えば、兄弟ゲンカの最中に、兄から弟が攻撃をされ、勝てないので乱暴な言葉で応戦する時です。なぜ、これがダメかというと、言葉を相手を傷つけるという目的で使っているからです。それを始めると、簡単に言葉で相手を傷つけることが出来てしまい、自分を守るツールとして活用し始めるからです。

乱暴な言葉で応戦するのではなく、きちんとした言葉で、何をしてほしくないか、どういう嫌な気持ちになるかを相手に伝えるのが大切。わかってもらえなくてさらにいじめられる場合には、大人に助けを求めてもいいと思います。

学校で、いじめっ子が乱暴な言葉でいじめてくる場合、理路整然と強い態度で応戦し、最後まで態度を曲げない姿勢も、実は相手にとっては脅威です。

そうして、きちんとした言葉や姿勢で対応できたときは、「それが本当の強さなんだよ」とほめてあげると、子どもは間違った言葉を武器のように扱うのは悪いと認識しはじめます。

今の社会は、パワハラ、モラハラ、セクハラなど「使う言葉に敏感な社会」です。子どもの頃から、乱暴な言葉で人を攻撃するクセをつけさせないことも、コミュニケーションの教育においてとても大切です。

              エグゼクティブスピーチトレーナー野村絵理奈