⑦WILL 未来図
〈基本エリア〉の段階で、聞き手の「ほしい」という欲求はかなり高まってきていますが、この〈発展エリア〉でその背中をもうひと押ししたいと思います。
前段で〈実績〉を聞いたことで「同じようにすれば、自分もそうなれるのではないか?」というポジティブなイメージをもってもらいましたが、さらに具体的に、この商品を手に入れたことで生まれる未来図を〈カスタマイズ〉していくのです。
⑧ステップアップ
聞き手の現状から、理想的な状態にいたるまでの〈未来図〉を段階的にプランとして提示します。
たとえば「今のお客様は~という状況ですが、これを導入すると、1カ月後には~という状況になります。半年後には~という状況になっているはずです」など。
導入にいくつかのハードルがある場合、とりあえず第一段階を提示する方法もあります。「まず20台だけ導入されてみてはいかがでしょうか? 3カ月後、売り上げの向上が見られたら、そのぶんを設備投資にまわすようにすれば、半年後には投資分は十分回収できるはずです」。
聞き手の欲求や課題に対し、確実に改善されるステップで、ひとつずつ解決のお手伝いをするのです。 ここでも〈相手の役に立つ〉というスタンスで話をします。
具体的な未来図をイメージできることで、聞き手の中に現実感が生まれます。「もし、この商品を導入したら……」という空想ではなく、〈リアルな話〉として受け止めるようになるのです。
⑨ネガティブポイント
とはいえ、バラ色の未来ばかりを語っていると、聞き手の頭の中に「いいことばかり言っているけど本当かな?」との疑いが生まれてしまいます。
その気持ちを先回りして、自らネガティブなことを口にする。聞き手が導入するにあたってネックになりそうな点、「疑わしいな」と思われているんじゃないかという点をあえて挙げ、それに関する解決策を同時に提案できれば理想的なプレゼンとなります。
「安くはない金額ですが、たとえばご予算に応じた台数などをご用意することもできます」「作業時間が気になっていらっしゃるようなら、こちらからスタッフをひとり派遣させていただきます」など。
聞き手にとって、より〈リアルな話〉になっています。
注意点として、ネガティブポイントを口にするときは、その解決策がある場合に限ります。プレゼンの終盤にあたる部分、解決策のないネガティブな要素で終わっては、これまでの苦労が水の泡です。解決策がある場合にのみ、より強力に背中をおす武器になると心得てください。
もし解決策が見つからない場合は、⑥〈実績〉の前など、プレゼンの途中に挟むのがいいでしょう。その際も「この点につきましては、改善の方向で最大限努力させていただきます」など、前向きに努力する姿勢を見せましょう。
皆様、是非実践してみてください。
KEE’S代表 エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈