コミュニケーションの壁は日本人の間にも存在する
私どもの会社、KEE’Sには、さまざまな企業から研修依頼があります。
担当者はおおよそ50代の管理職の方々。
皆さん、「若い社員の話し方がなっていない。
何が言いたいのか、まるでわからないので、ぜひ教育してほしい」と言われるのですが、
私からするとその方々にも問題があることが多いのです。
それは「年代」というコンテクストギャップ。言語、知識、体験、価値観、嗜好は年代によっても違います。
特に現在、50代の管理職の方々はいわゆるモーレツ社員。
「仕事ができなかったら、1回死んで生まれ変わってこい!」と、
ロジカルからは程遠い根性論を振りかざす上司の下で歯を食いしばり、会社に尽くしてきた人たちです。
一方、現在の新入社員をはじめとする若手社員は、ゆとり教育で育ってきた世代。
仕事と同じくらいプライベートにも重きをもつ人たちです。根性論を振りかざしても、まさにのれんに腕押し。
ただ、こちらも、どちらが「良い・悪い」という話ではないのです。
「あいつの報告の仕方がなってない!」「上司の怒る意味がわからない」と
コミュニケーションの壁を挟んで対立しても何も生まれません。
そんなことに時間を費やすよりも
「今、伝えたいこと、伝えるべきことは何か? どうしたら、それがしっかりと伝わるか?」を考えるべきなのです。
部下の報告の仕方が悪いのならば、「報告の仕方を改善してほしい」と言えばいいのです。
先にも言いましたが、ロジカルであることはフェアであることです。
業務上のアドバイスをするときに、部下の性格や人間性まで踏み込んで注意をすることはとてもエモーショナルなことであり、
アンフェアなこと。その場面で口にすべきは、問題になっている〈事象〉のみです。
さらに、なぜ改善すべきかという理由と改善法を明確に伝えれば、日本語を理解する部下なら皆、納得するでしょう。
「なんで、そうなるんだ!」「だから、お前はダメなんだ!」と感情的になりそうなときはひと呼吸置いて、
その話をあなたがする真の目的、〈自分は相手に何を伝えたいのか〉を明確にしてください。
それがすなわち、〈ロジカルに話す〉ということです。
同様のことが男女間にもいえます。この場合、男性のほうが、女性よりもロジカルであるといえるでしょう。
私を含め女性は感情が先走るため、本質ではないことから話し始め、結局相手の男性を混乱させてしまうことがあります。
「あなたは私のことなんて何もわかっていないのね! もう我慢の限界よ!!」
こう騒いでおいて、相手の男性に「そっと本心をわかってほしい」などと思っています。
その本心とは、たとえば「もっと小まめにメールがほしい」だったりするのです。
これでは、男性があなたの本心を理解できないでいても責められません。
男性の我慢の限界が訪れる前に、〈本当に伝えたいこと〉から話すことをオススメします。
ロジカルに話すためには、何事も「相手は自分と違った価値観をもっている」という見地に立って考えること。
そして、あなたが今、一番に伝えたいことは何か? それが相手にきちんと伝わり、
納得してもらうためにはどんな話し方をすればいいのか? それを第一に考えてください。
そうすれば、「感情的になる」「相手を頭ごなしに否定する」などという選択肢は出てこないはずなのです。
KEE’S代表 エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈
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