緊張を克服するには
「人前で話すのが苦手」という人は、過去の失敗体験が原因になっている場合があります。「子どものころ、自己紹介や学習発表会で失敗した」「結婚式のスピーチで絶句した」など、たった1回で「一生、スピーチ嫌い」になってしまう。
特に、子どものときの失敗した経験やトラウマを消せない人というのは多いものです。失敗の記憶自体はないのに、身体や心のどこかが覚えていて、できなくなっていることもあります。理由もないのに、なぜかできないことがある。苦手意識がどうしても払拭できないときは、自分をしっかり見つめ直してみてください。
私自身も小学生のとき、学芸会でたったひと言だけのセリフを言うことができず、しかもそのことを担任の先生に叱られたことで、長く「人前恐怖症」になっていました。
人前に出たら失敗する、叱られる、恥ずかしい思いをする。だからもう絶対、人前になんか出ない。
大学生になっても、そんな思いが意識のどこかにありました。
でもアナウンススクールに通うことになり、否応なく人前で話し、時に成功し自信をつけることをくり返すうちに、なんだか平気になってきたのです。
そして「人前で話しても、失敗しないこともある」「人前で上手に話せると楽しいし、気持ちいい」と思うようになっていきました。
だから、受講生の方の気持ちがよくわかるのです。一生懸命トラウマを克服しようともがく姿が、かつての自分の姿にも重なります。
皆様にお伝えしたいのは、「一回失敗したからと言って、一生失敗し続けるわけではない」ということ。「人前恐怖症」から解放される唯一の策は「失敗を成功体験で上書きすること」です。
緊張対策には話し方教室で成功体験を身につける
KEE’Sには受講者の方々から「プレゼンが成功しました」「スピーチが大好評でした!」という喜びの声が多く寄せられます。スピーチテクニックを身につけていただいたことだけではなく、自分の殻を破り、トラウマを克服できたこと、KEE’Sにそのお手伝いができたということに感動します。
さて次は私自身の緊張の話です。アナウンサーであり経営者でもあるため、セミナーや研修など大勢の前で話す機会が多いのですが、それでもやはり毎回緊張します。
ただ、この緊張状態が、いつも以上のパフォーマンスを引き出してくれるのです。前日までは「明日、大丈夫かなあ」とか、「突然のアクシデントで開催中止にならないかなあ」などと正直思ったりします。しかし、スピーチ直前になると、その緊張感が、なぜか心地よく、背筋がピンと伸び、頭も冴えて、いつもよりもハリのある声が出せるのです。
緊張状態とは、言い換えれば「戦う体制」です。アドレナリンが出て、血流が体中をめぐり、頭も体も、いつでも戦える準備ができています。プロのアスリートや俳優、アナウンサーは、この緊張状態を利用して、より良いパフォーマンスを引き出しています。
緊張を上手く利用するためには、緊張状態とお友達になるのが大切です。緊張を「自分を失敗させるもの」ではなく、「自分をより高い状態にもち上げてくれるありがたい『友』」だと思うのです。
緊張に振り回されてしまう人は、緊張してしまったこと自体に動揺してしまい、緊張で普段より悪いコンディションに陥ると思い込みがちです。それにより、「緊張=失敗」という方程式を自分で作り出し、そのレールに乗ったままスピーチを始めてしまうので、最初から自信なさげな声で、不安なまま話し始めることになります。
緊張の怖いところは、味方だと思えば最大の友になり得るのに、敵だと思った瞬間、あなたを失敗させる存在に変わってしまうことです。スピーチがうまい人は緊張しないのではありません。緊張は誰にでも公平に訪れます。要は、緊張がやって来た時に、どう迎え入れるか?が大切ということです。
レッスンでは、人一倍緊張してしまう方が来られます。中には「スピーチのことを考えるだけで動悸が激しくなり不安になる」とか「スピーチをしたくないので出世をあきらめた」という方もいるほどです。
そんな方には必ず「緊張するということは、それだけ周囲に気を配るセンスを持ち合わせているということですよ」とお伝えしています。
もし、聞き手のことを全く気にしない人がいたとしたら、その人は緊張もしないはずです。聞き手に伝わっていなくても、自分が相手からどう思われても無関心なのですから、プレッシャーも皆無でしょう。
でも、そのような人に良いスピーチが出来るでしょうか?私はそうは思いません。
人一倍緊張する人は、人一倍相手の事を思いやることができる人です。そのような心づかいのある人が、さらにコミュニケーションのテクニックを身につければ、きっと素晴らしい会話やスピーチが出来るはずです。
「スピーチが苦手と思いこんでいる人ほど、スピーチ上手になれる」そう信じて、緊張に打ち勝ち、自己表現をしてもらいたいと思っています。
DON’T THINK JUST DO IT~「考えるな。まず実践せよ」
この言葉は歴史的なバレエの振付師ジョージ・バランシン氏の言葉です。また、ナイキの有名なスローガンにも “Just do it” がありますね。脳が先行してプレッシャーを感じ取ると、体が思うように動いてくれなくなります。なので、「頭で考えなくても体が自然に動き出すようにトレーニングした後は、考えすぎないようにすること」という意味です。
サッカーのロナウド選手は、GKの際に仁王立ちをし、驚異的な成功率を誇っています。ベルリン自由大学のミヒャエラ・サンバニス教授によれば、こういった動作はパワーポーズと呼ばれ、脳に「あなたは成功できる」というポジティブな信号を送るそうです。
心(脳)と体は一体です。心が緊張すれば、体も硬直する。体が緊張状態を作り続ければ、脳からは、さらに緊張を促す信号が送られるといった具合に。
スピーチをする際に視線が泳いでしまったり、「え~、あの~」と無駄な言葉を繰り返したり、落ち着かない動作をしてしまうことは、すなわち、緊張する心(脳)に任せて、体の状態が振り回されてしまっているということでもあります。
スピーチにも、他の習い事と同じく、上手く話すテクニックがあります。テクニックを まずは体にしみこませ、後はネガティブな思考クセをなくすことが出来れば、どんなに緊張する場面であっても、大失敗をするようなことはまずなくなるでしょう。
KEE’Sでは、プロのアナウンサー講師が、話し方についてアドバイスさせていただきます!!
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