◆話の内容で、聴き手の心をつかむ
今日の【テーマ】を決める
私は、企業研修のプレゼンや、一般の方のセミナーを始める前に、
かならず『テーマを設けております。』という話を冒頭でする。
例えば、女性社員向けの企業研修を検討中の企業で、プレゼンをするとすれば、
『今回の研修にテーマを設けました。それは《女性の魅力を開花させる話し方》です。』とか、
一般の方の話し方セミナーで、1時間講演するとすれば、
『今日のテーマは、《1時間で話し方が劇的に変わる!》です』というように。
なぜ、こうするのか?=自分が、このセミナーやプレゼンにかけた思いを冒頭で相手に伝えたいから。
この人の話をきけば、~になれるんだ。という希望と、何が何でも力にになりたいという情熱が伝わる。
テーマとタイトルは違うことに注意
タイトル=話の主題
テーマ=こめられた願い、思い
その話をすることで、相手に何が伝わればよいと思うか?シチュエーションに応じた《テーマ》を作る。
それは、言っても言わなくても構わない。自分の心の中に、テーマがあるだけで、気持ちの込め方が違ってくるはず
言葉は短く、ストレート。
有名な演説や、人の心に残るような名言の多くは、短く、ストレートに表現されている。例えば、オバマ大統領の『Yes we can』 やキング牧師の『Ihave a dream』は誰でも一度は耳にしたことがあるフレーズでしょう。
また「Changes for the Better」は三菱電機の会長野間口有氏が社長時代社員に呼びかけていた言葉。CMにもなっている。
人の心に、一度で強く残る言葉というのは、短くストレート。また短い言葉を何度も繰り返すことによって、人の脳裏に強く刻まれていく。
聴き手が、『あの人、こんな言葉を言っていたな~』と思い出すような短くインパクトのある言葉を。
シンプルな言葉を使う
アップル創業者のスティーブジョブズはビルゲイツに比べ、専門用語や難しい熟語が極端に少ない。半分程度という調査結果も。
例えば、ジョブズのプレゼンやスピーチには、『cool!』『foolishi』のような言葉がポンポン出てくる。自分の表現したい気持ちにピッタリだと思ったら、素直にストレートに、ズバッとシンプルな言葉で表現する。
ジョブズのスピーチが心を打つ理由のひとつは、その言葉のシンプルさ。
ビジネスシーンとなるとなぜか、われわれは、専門用語や難しい熟語をあえて使ってしまう。それは仕事が出来るように見せたいという気持ちから、だろうが、かえってナンセンス。
難しい言葉=変換作業が必要。そうでなくとも分かりにくい自分の話をさらに分かりにくくしているようなもの。
聴き手の心に、ズバッと入り込みたいなら、変換など必要のない、シンプルな言葉を使うこと。
スピーチとなると、『ただ今』『さくじつ』のような文語調を使ってしまう人も要注意。『今』『きのう』という、できるだけナチュラルな口語を使うこと
そして、心をオープンにすることも忘れずに。
思ったことを、素直な心で、そのまま言葉に出来る人こそ、カリスマのように人の心をつかむ。
体感できる数字を使う
人を説得するには、話に客観性があること。客観性のある事とは、『事実、現実、主観が入らないこと』が前提。例えば、物事を数字で表すのは、客観の最たる例。
『この商品いいですよ』と何百回言われても、いまひとつ信用できないのは、その言葉が主観であるから。
それを『この商品を購入した78%が、次回も同じ商品を購入されます。』といわれた瞬間、(買っても良いかな)という気分になる。
人は、数字に弱い。
でも、数字は取り扱い方法によっては、逆効果。
数字は、使いすぎると面白みもありがたみもなくなる。プレゼン資料で、やたらとグラフや図表ばかり使う人がいるが、きまって、面白くない。
関係のない写真やイラストがたまに入ってくる資料のほうが、まだ、面白い。
数字=難しい
客観=心がこもっていない
説得力がある反面この2つのイメージも併せ持っているのが数字。
でも数字は使いようによっては、面白く、かつ説得力のある最強アイテムになりえる
それには、数字に主観を持たせること。
聴き手自身が、その数字を頭の中で、体感できるようにすれば良い。
例えば、『このPCは900gしかありません』というなら、『このPCは、かばんに500mlのペットボトル2本入れるより軽いんです。』というほうが、重さの感覚を体感できる。
この本を仮に数字で表すなら、『全部で6章、178ページで構成されています。』というより、『毎日1章、30ページずつ勉強すれば、たった6日で話し方の全てがマスターできます』というほうが、呼んで上達する自分を想像できる。
数字は、そのまま使うのではなく、体感できる、主観に変えて提供する
emotinoalな形容詞を使う
面白くない話のほとんどは、トークではなく説明になってしまっている。
物事を捉えるとき、人によって3つのパターンに分類される
1 視覚的にとらえる
2 聴覚的にとらえる
3 身体感覚的にとらえる
視覚的に捉える人は、第一印象で人を好きになったり嫌いになったりするタイプの人。2は、論理的に考え、言葉で説明がつかないと好きになったりしない人。3は、どきどきするから、フィーリングが合うから、と言う動物的身体感覚で好きになる人。
物事の捉え方の特色は、話の仕方にも現れる。1の人は、『こんな色で、こんな形で・・』と視覚的に描写する、2は、論理的に数字や言葉で説明する。3は『どば~っと』とか『こ~んなに』など擬態語や擬音語が多く感覚的に説明する。
2の人は、終始、ものごとを体感ではなく、頭でとらえ説明してしまう傾向があるので、聴き手は頭ばかり使わせて疲れさせてしまうことが多い。
聴き手の感覚に訴えたいのなら、1の視覚的要素や3の身体感覚的要素も組み入れて。
説明のあいまに、聴き手が頭の中でシーンを再現できるように、描写する部分を取り入れるとか、擬態語や擬音語、触った感覚やにおいと言った感覚的な話を入れると、説明になりすぎず、リアルで立体的な派話し方になる。
エピソードを語る
人が一番リラックスして聴くことができ、さらに印象に残る話は、実はエピソード。
数字が人を納得させる客観だとすれば、エピソードは人の心を動かす主観ともいえる。
私は、セミナーの3分の1をエピソードにあてることにしている。
例えば管理職向けのビジネススピーチセミナーで
『余談になりますが、うちの教室の女子大生が、アナウンサーを目指しているんですが・・』とか
『皆さんとは関係ありませんが、ミスユニバースを目指す女性たちは・・』
というような話をすると、みんな、釘つけで話に聞き入ってくれる。
もちろん、エピソードはただの雑談ではない、そこから何か、聴き手に有益な情報に着地する必要がある。
『これは~~だから、@@する必要があります』と説明されるより、
『関係ないですが、~~な事もあります。やっぱり@@って大事ですね』とエピソードを語られる方が、すんなり心に入ってきて、印象にも残る。
説明になりすぎるタイプの人は、特に、エピソードを語るクセを。
エピソードは1テーマにひとつ。多すぎても雑談になってしまうし、インパクトをそぐ
脳の空白を利用する
話に見出しをつける
スピーチの目的は、分かってもらうことではなく、聴いた人の心に残ること。そして、出来ればその人が、話して代行として、同じ話を周りに広めてくれること。
それには、聴いた話を思い出しやすくする工夫をすること。
脳の空白を利用するところで説明したように、冒頭で3つありますと3つの空白のBOXを作ると、聞き手は、からのBOXに説明を詰め込む。
思い出させる上でも便利。聴き手が、3つあるはずのBOXのうち、2つしか思い出せなかった場合、必死で残りの1つを思い出してくれる。脳の空白を嫌がるから。
さらに、思い出してもらいやすくするには、1つ1つのBOXに見出しをつけること。
ちょうど、衣類をしまっておくBOXに『冬用』 とか『インナー類』などと見出しをつけるように。
そうすれば、聴き手は、そのBOXの見出しを思い出し、さらに、それをきっかけに、中に入っている詳細な内容を思い出すことに成功する。
NG『話のポイントは2つあります。1つ目をご説明いたしますと・・・』
OK『話のポイントは2つあります。1つは先月の結果について、もうひとつは改善点についてです』
夢や情熱を語る
人の心にのこる演説に欠かせない要素。それは、夢や情熱、先にのべた、3つの感受性の違いで言うと、3番目の身体的感覚にうったえかけるということ。
Emotionalな形容詞を使うとリンクする部分もある。
例えば、歴史上の演説で、人を動かした人は、良くも悪くも、感情に訴える言葉を使って、聴き手の心を強く動かしました。
マーティン・ルーサー・キングの『I have a dream』という有名な演説があるがは、『I have a dream』という言葉は8度も繰り返し繰り返し引用されている。また、Now is the time..(今こそ)という言葉も4度引用されている他、freedomという言葉も繰り返し反復されている。
これが『私には夢があります』ではなく、『私は~と思います』では、聴き手の心は揺らがない。
話し手が情熱や感情をストレートに表現したとき、聴き手と話し手の間に共感が生まれ、聴き手は話してを応援したくなるもの。
また先にお話したように、夢や感情を表す言葉は、聴き手の感情にストレートに響く。
恥ずかしい、ビジネスの場で・・と思わず、プレゼンの出だしや締めくくりには、情熱をしっかりと伝える部分を作る
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