<日本語の発音、あいまいになっていませんか>
オンラインで聞き取りやすい発音を身に付けたいと話し方教室を訪れる方は多くいらっしゃいます。例えば、「1」(ichi)と言ったつもりが相手には「7」(shichi)に聞こえたり、「100」(hyaku)を「約」(yaku)だと勘違いされるなど、似た音であれば聞き間違いが生じるリスクはさらに高まります。
ちなみに、対面であってもマスクを着用していたりする場合は同じようなことがおこりやすくなります。何度も聞き返されてしまうと、時間のロスになるだけでなく、聞き返すほうにもストレスを感じさせるので、明瞭に発音できるように改善しましょう。
話し方教室のレッスンでは、大切なのは、音を一音一音、正確に伝えることであるとお伝えしています。
日本語を構成する五十音は、それぞれに特徴があります。母音を作る口の開け方、舌の位置や動き、唇の形や動き、息の使い方まで、さまざまな個性があるのです。にもかかわらず、音の特徴を理解しながら発音している人はほとんどいないでしょう。
英語の発音を学ぶときには、正しい口の形や舌の位置、唇の動かし方などを学ぶことから始めますが、日本語でそれを学ぶ機会はほとんどありません。
その結果、日本人であっても、日本語の発音があいまいになり、オンライン上などでは特に聞き取りにくい発音になる原因になっています。
特に聞き取りにくい音を発音する際の、舌や唇の動きなど目安となるポイントを以下に挙げておきますので、参考にしてみてください。
サ行→上下の歯の隙間から息を勢いよく出す
タ行、ナ行→舌の先の方を上の歯の裏にぴったりとくっつけてから発音する
ハ行→口をしっかりと開け息をしっかりと吐き出しながら発音する
マ行→口を開けるときに上下の唇の摩擦を意識する
ラ行→舌先をとがらせて、上下にバウンドさせるように発音する
パ(バ)行→唇をすりあわせながら、破裂させるような音を出す
聞き取りやすく話すためには、脱落音と呼ばれる、発音できていない(抜け落ちている)音をつくらないことが大事です。
脱落音が多い人には、先に挙げたような難しい音が発音できていなかったり、母音(a i u e o)が抜け落ちたりしている特徴があります。
例えば、「ありがとうございます」を正しく一音一音発音すると、
A RI GA TO U GO ZA I MA SU
となります。
でも、脱落音がある人の場合、
「あざ〜す」
のように聞こえることがあります。
これは少し極端な例ですが、母音まで意識して一音一音丁寧に発音しないと、相手に雑な印象を与える発音になってしまいます。
たかが話し方と思っていても、時に話し方は〈人格〉として伝わってしまうこともあります。
文字も人格を表すといいますが、文字を書くときも、丁寧に書いてあったり、大きさが揃っているほうが美しく見えますよね。話し方にも同じことが言えます。
つまり、話し上手でなくとも、一音一音丁寧に発音された「粒の揃った音」は、その人の〈人格〉をも美しく見せてしまうのです。
話し方教室KEE’Sの講師はアナウンサーですが、アナウンサーの発音が美しく、聞き取りやすいのは、脱落音がない、正確な発音をしっかりトレーニングしているからなのです。
このように明瞭な発音は、聞きとりやすいだけでなく、知的な印象をも相手に与えることができますのでぜひ心がけてみてください。
エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈
画面を通して伝えるアナウンサーの極意がつまった
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