説明をやめて、《描写》で話してみよう
たとえば、あなたが会社の帰り、家の近くの交差点で中学のときの同級生に10数年ぶりに遭遇したとします。
しかも愛媛に住んでいたときの同級生で、その友達は今日たまたま東京に来ていて会ったのです。
新宿や渋谷などの繁華街ならまだしも、家の近くというところが奇跡のような話ですよね。
そのときのあなたはどんなに驚いたことでしょう。その友達と話したとき、どんなにテンションが上がったことでしょう。
あなたは当然、その話を誰かにしたいはずです。あなたの驚き、喜びを誰かと共有したいはずです。
さて、どんなふうに話しますか?
「今日の帰り、たまたま中学のときの友達に会ったんだよね」
そう話した場合、相手はどんな反応をするでしょう?
せいぜい、「へえ」「そうなんだ」がいいところでしょうか。
せっかく、奇跡のような体験をしたのに、相手の反応がそれでは、あなたは途端に話す気をなくしてしまうはずです。
でも悪いのはあなたですよ! そんなとき、話上手な人は<情景描写>を用いるのです。 たとえば、
「今日の帰り、家の近くの交差点で、『どこかで見た顔だなあ……』ていう人がいたんだよ。でも、よく思い出せなくて、絶対知ってるんだけど、声をかけて勘違いだったらイヤだし、もう一回、顔をよく見てみようとウロウロ位置を変えたりして……」
これは<説明>ではなく、<描写>です。自分のそのときの心の動きを再現しているのです。
話上手な人なら、いかにも思い悩んでいるふうな表情やウロウロするような仕草を加えることでしょう。
「それで、顔が見える位置まで移動して、見てみたら、誰だったと思う? なんと愛媛に住んでいたときの、中学の同級生だったんだよ! 引っ越してから10年以上会ってないんだよ!!」
相手も「えーっ!! そんなこともあるんだあ」と、あなたと同じように驚き、楽しんでくれることでしょう。
自分の感動を伝えたいとき、<情景描写>は必要不可欠です。感動だけでなく、うれしかったこと、笑ったこと、頭にきたことなどなど、描写を入れることにより臨場感が出、
相手があなたの経験をより鮮明に追体験することになります。その話は<パフォーマンス>になるのです。
では、描写の代表的なテクニックを説明しましょう。
1、表情・動作
そのときのあなたや相手の表情や動作を身振り手振りで加えてみる
2、擬態語・擬音語
「バン!と机をたたいた」「シーンと静まり返った」など。擬態語、擬音語は特に意識し、その情景が伝わるような表現、感情を乗せてみましょう。
3、セリフ
セリフはセリフのまま、使いましょう。たとえば、
「最近、娘にクサイと言われました」
「最近、娘に『お父さ~ん、なんかクサイ~』と言われました」
前者は<説明>。後者は家庭での様子まで目に浮かぶように思えませんか?
たったひとつ、セリフをそのまま生かしただけで、これだけ臨場感が違うのです。
特に、<擬態語・擬音語>は個性が出るところです。
「そこでそんな擬態語使う?」というものも、その状態を的確に表していることがよくあります。
意表をついたセンスのいい<擬態語・擬音語>を使う人は間違いなく話上手な人です。
「部長に呼ばれたんだけど、行きたくなくて、廊下をジワジワ歩いちゃったよ。結局着いちゃったけど」
「この状態を自分だったらどんな擬態語で描写するかな?」と日々、考える習慣をつけるのもオススメです。
<情景描写>を上手に取り入れよう
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