前回、TOYOTA豊田章男社長のスピーチのユーモアについてお話しました。
それを読んだ生徒さんから、具体的に、どんな冗談ならOKでどんな冗談がNGなのか?というご質問をいただいたので、皆さんにもシェアさせていただきます。
確かに、ユーモアと言えない冗談をスピーチに盛り込んでしまう人がいますよね。
もちろん、聞き手との関係性、どの程度パブリックな場なのか?や雰囲気などによっても、ゆるされる冗談の範囲は変わってきますので、一概に線を引くように区別は出来ないのですが、例題を出しながら、一緒に考えてみたいと思います。
これは、実際にスピーチである生徒さんが使ったフレーズで、退職された上長に手向けたスピーチの中で使用されました。例1と2のどちらが使用可でしょう?
- 「田中部長は、うわさによると、在職中より趣味で忙しくされているそうで…」
- 「田中部長は、仕事熱心ではなかったですが、今は趣味に邁進されているそうで…」
2つとも、同じ意味で、少し表現を変えただけですが伝わり方がかなり違ってきます。
正解は1です。かなり砕けた場で、田中部長がどんな人かにもよりますが、2のように勤務態度を含む能力をストレートに否定するような表現(この場合は「仕事熱心ではなかった」)はなるべく避けましょう。
実際のスピーチでも、1は会場で和やかな笑いを取ることができていました。
このように、ユーモアには、時に人をシニカルに捉えた表現が含まれることがあり、人を傷づける可能性があります。自分が言っていいものか判断に困ったら、下記の条件にあてはまっていないか確認してみてください。
ユーモアにならないNGネタの例
・自虐ネタでも、同情される、他の人に迷惑がかかるネタ
・人を陥れる、評判に傷がつくネタ
・秘密の暴露、触れてほしくない内容
・外見、容姿、能力をストレートに否定するネガティブなネタ
TPOに応じて許容範囲が変わってきますが、許されるか許されないか迷うようなネタは、避けておいた方が得策かもしれません。
KEE’S代表 エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈