以前にも「苦手」を克服するコミュニケーションテクニックをお伝えしたのですが、合わない人との付き合い方について、どう考えればよいかのご提案です。
誰しも、なんとなく「合わない人」というのは存在するものです。金銭感覚や環境の違い、考え方や価値観の違い、資質や能力の違い、生理的に「合わない」と感じることもあると思います。
また、社会生活を送っていく上で、自分と合わない人とまったくつきあわずに済むことはないでしょう。ご近所の人であったり、子どもの親として付き合う必要があったり、会社の同僚であったり、義両親や息子の嫁であったりと、どうしても逃げられない関係というものが存在します。
「合わない」とは、言い換えるならば、自分との「違い」があるということになります。「自分と同じではない」=「合わない」と認識されるのです。
自分とは違った人を理解できないのは、「もしかしたら自分の包容力が足りないから?」「受け入れられないのはどうして?」と思い悩むこともあったりするかもしれません。
そういう場合は、少し大胆な言い方をしますが、受け入れたり理解するのは諦め、「認める」ことをお勧めします。
「この人はこういう考え方の人だ」「この人はこういう行動を取る人だ」というように、発生した事実だけを認めることです。ただし、そこまででストップ。「こんなに自分と違う。だからダメなんだ」と性急に結論づけないことです。
なぜなら、自分と違うということは、あくまで「違い」があるというだけであり、自分が無条件に良くて相手が無条件に悪いということを意味しないからです(逆もそうですね)。
これは、私が携わって来たミスユニバースやミスアースの世界大会では基本の考え方です。世界各国の代表は文化も見た目も価値観もすべて違います。日本人だから欧米人に劣っているというような考え方をしていては、自信を持って舞台に立つこと、ましてやタイトルを勝ち取れません。すべてが個性であり、違いがあるから面白いのです。
ただし、合わないと感じる人が、いつも嫌味を言う、いじめてくるなど、こちらに実害を加えてくる場合は、無理をしてつきあう方が損をします。一定の距離を置くか、接点を避けるなどの工夫をしましょう。
相手が上司など、距離を置くことが難しい場合は、せめて心理的距離を置きましょう。
アメリカの企業で働いていた方が、「アメリカ人と交渉する時は、心の中で腕を一杯に伸ばしてパンチしているイメージで話す」とおっしゃっていました。腕を一杯に伸ばすというのは、「ここから先には入れないぞ」というような「心理的な距離を置く」というイメージです。距離を取ることができれば、合わない上司とのコミュニケーションも「これはビジネスの場限りのこと」と割り切って受け流すこともできます。
本当の意味でコミュニケーション上手な人は、誰とでも距離なしで仲良くなるのではなく、人に応じて最適な距離をとりつつ、つきあうことができる人ではないでしょうか?コミュニケーションの名の下に、大切な自分自身をすり減らすことのないように、と思います。その上で、嫌いな人とのコミュニケーションのテクニックをご活用くださいね。
KEE’S代表 エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈