先日、講談師の方から講談の構成についてお話を聞く機会がありました。
講談の読みと言えば、畳みかけるような「言い立て」や張り扇を叩きながら勇ましい戦いの場面を表現する「修羅場」などが重要だと思われがちですが、「切れ場」と言われる最後の締めも同じくらい大切とのこと。四字熟語や故事成語などの短い言葉を使ってエピソードの内容をまとめると、全体がキュッと締まって聴衆に「いい話を聞いた」と思わせられるのだそうです。
それを聞いて「スピーチにふさわしい構成」と似ているな、と感じました。
スピーチの構成では、話し手の過去の体験や思ったことを語る「経験談」とデータや統計、有益な知識を伝える「一般論」がバランスよく入っていることが大切です。また、話す順番としては、「経験談→一般論」が望ましいのです。誰にとっても身近な経験談からスタートし、そのあと、数字などのデータや本・新聞などから得た知識を使った一般論でまとめると、スピーチに厚みが出て説得力が生まれ、聞き手の納得感・満足度が増します。
講談は長い歴史を持つ伝統芸能ですが、聞き手をひきつけるワザというのは、時代が変わっても通用する普遍的なものかもしれません。普段KEE’Sでお教えしているスピーチテクニックとの共通点を見つけ、ついついうれしくなったので書いてみました。
KEE’S代表 エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈