初対面の人などあまりよく知らない人との会話の中で「シーン」としてしまうのがこわい。
会話の最中で沈黙が生まれると、自分の心臓の音まで聞こえるような気がしたり、一気に背中から汗が出る気がしたり、早く何か言わなければとプレッシャーを感じたりする。
こういう経験はありませんか?
症状がひどい場合は「沈黙恐怖症」という診断を受けることもあるくらい、沈黙には誰しも少なからず不快感を持っています。
― 沈黙になったからと言って、誰も困らない。会話の間合いなど、むしろ自然なものだ。
頭ではそうわかっているのに、動揺してしまうのはなぜでしょうか?
それは、会話の沈黙をコミュニケーションが途切れた瞬間と勘違いしているからです。
あたりまえですが、言葉を交わしている間は、自分の考えも相手の考えも明らかで、和やかに共感しあい、会話を盛り上げていくことが多いでしょう。 そこに、急に沈黙が生じると、さっきまでの良い流れが失われてしまう気がして、不安になったり、不快な感じがしたりするのです。
特に、コミュニケーション力が高く、感受性が豊かな人ほど、沈黙に対して不安感があるようです。
では、この突然の沈黙に対し、どのように対策すれば良いのでしょうか?
初対面の人との会話の「間」をつなぐ、「そういえば」会話を覚えておくのがおすすめです。
「そういえば、ここに来る時に、桜が綺麗に咲いていました」とか「行列のできているケーキ屋さんがありましたよ」など、その場所に来るまでのスモールトークや、 何度か会ったことのある人であれば「そういえば、この間、娘さんが大学に入学されたんでしたっけ」「そういえば、この間のプロジェクトは順調ですか?」といった「この間」情報をはさむと、間をつなぐことができます。
一度区切りがついた話題にまた戻すのは不自然になりがちですが、「そういえば」と一言入れて続ければ、自分が準備してきた得意な話題に、自然に持っていくことができます。
ただ、会話の中の沈黙は、会話の内容をお互いに咀嚼したり、次の話題を考えたりする時間となります。会話の質を高めるためにも沈黙は必要です。
会話の途中で間が空いてしまったからといって動揺したり、間をつなぐことに必死になったりせず、その間合いを楽しむ気持ちがあれば、もっとリラックスして会話を楽しむことができるのではないでしょうか?
沈黙をおそれないためのヒント、ぜひご活用くださいね。
KEE’S代表 エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈