お子様をお持ちの方への質問です。
「発表会でうちの子だけ、恥ずかしそうに黙り込んでしまって、顔から火が出るほど恥ずかしかった」
そんな経験はありませんか?
私は何度もそんな経験をしました。うちの長男は、小さい頃極度のあがり症で、人前はもちろんのこと、初めての場所、初めて会う人に対し、とても慎重なタイプでした。
周りのお友達は、ハキハキ元気よく挨拶や自己紹介が出来る中、うちの子だけは、もじもじしながら、消え入りそうな声で話していました。
そんな時親は、自分の事以上に心を痛め、もどかしく思ってしまうものです。
時に、叱ったり、何度も練習させてしまったり。仕事ではスピーチトレーナーとして、自分よりもっと立場のある人にも偉そうにアドバイスしている癖に、自分の子どもは、どうして上手くいかないのだろうと、悩んだりしていました。
そんなとき、あることに気がついたのです。息子は習い事で発表する際、いつものようにボソボソと話し始め、あげくには途中で発表を止めてしまいました。
「あ~まただ」とがっかりしたそのとき、それまでじっと座っていた息子が、机の下で手を動かし、足をこすり合わせているのが目に飛び込んできました。
そのジェスチャーは、「恥ずかしさに耐え、懸命に話そうと努力する気持ち」としてこちらに伝わってきました。
「声が出なくても、心は動いている」
そんな当たり前のことに、やっと気が付いたのです。
子どもは、大人のように饒舌ではありません。
頭の回転だって、思うようにはなりません。
でも、心を動かして、一歩前に出ようとしている気持ちは、みんな持っているのです。そして、自分の力で一歩前に出たとき、その一歩は、大人が教えたままをなぞることよりも何倍も力強く、大きな一歩となります。
自ら成長する力を信じて、子どもを見守る親でいたいなと思います。
KEE’S代表 エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈