苦手な人をつくると、人生に制約ができる
「苦手な人がいたって、生きてはいける」と思う人もいるかもしれませんね。
でも、いったん苦手な人を作ってしまうと、オープンマインドではいられなくなります。
この人はいいけれどこの人は好きじゃない、と選り好みをしていると、人間関係は狭まるいっぽうです。人脈も、行動も、自分の表現の仕方も限られてしまいます。
人には多面的な魅力があるはずなのに、自分の一部分しか見せないとか、心を許した人にだけしか自分を見せないとなると、せっかくの魅力も半減してしまいます。
人に話しかける度にいちいち緊張したり、自分をガードしてばかりの人に、みんなは魅力を感じるでしょうか。
自分を飾らずにオープンにできる人、誰に対しても素直に明るく接することができる人のほうが魅力的だし、得な人生を送れるはずです。
それに、自分の苦手な分野とか、話の合わない人との付き合いに踏み込んでいくことによって、自分の世界も広がります。
知らなかった発見がたくさんあるはずです。あなたの人間としての魅力にも、一層磨きがかかることでしょう。
人は変われます。苦手だった人にも、好きな人に対するように接するうちに、その人のことを好きになっていくものです。
最初は気が合わないかもと思った人も、よく知ってみたらものすごく気が合って、一生続く縁になっていくこともあります
苦手意識は捨てて、自分から近づいてみましょう。
苦手な人とのコミュニケーションを克服する方法
では苦手な人とのコミュニケ―ションを克服するためには、具体的にどんなコミュニケーションをとればいいのでしょう。
苦手な人に対して、ついやってしまいがちなのが、こういう態度です。
- 避ける
「今忙しそうだから声をかけるのはやめよう」など、様子を見てしまう。
話しかけられたら、つい一歩下がってしまう。 - 腫れものに触るように接する
「あちらが挨拶してきたら、私もしよう」など、相手の態度を見てから行動する。
用件は直接言わずに、なるべくメールで済ませる。
話をする場合も、用事が済んだらそそくさと立ち去る。 - 感情を出さずに話す
緊張するので身体に力が入ってしまい、つい声が小さくなってしまう。
相手が不機嫌そうだと、自分の態度も同じように事務的になってしまう。
こういうことをしていると、ますます声をかけにくくなって、ますます「苦手」心が大きくなるという悪循環に陥ってしまいます。
私もふだんから実践しているコミュニケーションのコツを、これからご紹介しますので、ぜひやってみてください!
<「苦手」を克服するコミュニケーション・テク5>
1.自分から声をかける
苦手な人と話す時、まず第一歩として「自分から声をかける」ことを心がけましょう。
挨拶でも、名刺交換でも、どんなシチュエーションでもいえることです。相手がどうであれ、「自分から」が基本です。
でも実際には、「相手が挨拶してきたら私もしよう」とか、「相手の出方を見てから行動しよう」という、
「相手待ち」の姿勢の人が多いようですね。
こういうコミュニケーションを、私は「省エネ型コミュニケーション」と呼んでいます。
日本人にはとくに、このタイプの人が多いようです。
もし、「相手が話しかけてこないなら、私もしない」という姿勢でいたら、永遠にその人とは仲良くなれないかもしれません。
自分にとって宝物になるはずの人脈を捨てているようなもので、もったいないと思います。
自分から声をかけられる人は、得をします。ちょっとだけ勇気を出してみましょう。
2.相手の反応は気にしない
コミュニケーションのもうひとつの大前提、それは「相手の反応を気にし過ぎない」ということです。
気持ちよく笑顔で挨拶をすれば、たいていは相手からも同じように返ってくるものです。
でももし同じような反応が返ってこなくても、気にする必要はありません。
省エネ型コミュニケーションになってしまう人の理由は、「自分が挨拶しても、相手がしてくれなかったらどうしよう」とか、
「“エッ?”という顔をされたらどうしよう」と思うからでしょう。
万一、無視されたりヘンな顔をされたとしても、私が気持ちいいから挨拶しているだけ。
人とコミュニケーションをとれる人間でありたいからしているだけ、そう思えばいいのです。
自分から挨拶をすることによって、あなたにマイナスなことはひとつもありません。
こちらが挨拶しても無視する人というのは、ものすごくシャイなのかもしれないし、吃音とか何か事情があるのかもしれません。
いずれにしても、相手の反応は関係ありません。「挨拶をするのは自分のため」と決めて、行動しましょう。
3.相手の不機嫌トーンにつられない
苦手な人と話す時には、いつもより明るく、リラックスした状態で、表情豊かに話しかけるように心がけましょう。
相手が不機嫌そうな様子でも、それにつられないで。自分が相手のトーンを盛り上げるつもりで話しましょう。
緊張していると、肩に力が入りやすくなります。肩が上がっていると、呼吸する肺の筋肉を縮めてしまうので、呼吸がしにくくなってしまいます。人前で話すときに、息苦しくなったり声がつまるのはそのせいです。この人苦手だなと思うほど、
無表情で、ボソボソ、もぞもぞ話すことになります。
緊張しているなと思ったら、まず肩の力を抜きましょう。次はひたいをやわらかく、リラックスさせます。
ひたいに力が入っていると、表情がなくなってしまいます。
口角を上げて笑顔をつくり、大きめの声を出すように心がけて。さらに、ジェスチャーをつけると感情が生き生きと伝わります。
「相手を自分のペースに巻き込むぞ」くらいの気持ちで話しかけましょう。
4.好きな人を見るときの目で見る
苦手な人と話をするときには、「この人を好き」という気持ちで相手を見つめましょう。
すると相手は、「この人は自分に特別に好意を持ってくれているんだな」と感じるので、コミュニケーションがうまくいくはずです。
アナウンサーならだれでもそうだと思いますが、私はカメラに向かって話すとき、「好きな人を見る目」をするように心がけています。
ちょっとうるんだ感じで、じっとレンズを見つめるのです。
人と会話をするときも同じです。
そういう表情が自然にできるようにするためには、自分が好きな人を見つめるときの目を覚えておきましょう。
そして、苦手な人に話しかけるときにも、その目を意図的につくるように心がけてみてください。
同じように、いちばん楽しいときの自分の話し方を記憶にとどめておくと、役立ちます。
苦手な人と話をするときにも、友達とディズニーランドに行って「今日楽しいねー!」と
いうときの自分の話し方を思い出すと、いい感じで話せますよ!
5.相手の名前を呼ぶ
挨拶するときには、ただ「おはようございます」ではなく、「○○さん、おはようございます」と言ってみましょう。
挨拶の言葉だけだと、単なるマナーで言っているという感じがしますが、そこに名前を付け加えると、心がこもった挨拶になります。
「○○さん、お疲れさまです」
「ありがとうございました、○○さん」
「たいへん勉強になりました、○○さん」
「○○さん、また明日」
苦手な人に対してはとくに、このテクを心がけましょう。
名前を呼ばれて嫌な気持ちになる人って、まずいません。
名前って、自分にとって特別なもの。相手が自分の名前を覚えてくれていると思うと嬉しいものです。
名前を呼ばれると、そこに一瞬二人だけの空間ができるんですね。みんなにではなく、自分だけに言ってくれていると思えるのがポイントです。
そしてこちらも、いつも名前を呼んでいるうちに、自然に相手に対して好意を持てるようになっていきます。
ぜひ。今日からやってみてください♪
以上が、苦手な人と話すときのコツでした。
こちらのコラムに関連して、「合わない人とコミュニケーションを取るコツ」もおすすめです。
また、苦手な人をポジティブにとらえるためには、こちらのブログ、「自分を取り巻くものはすべてネタ」はいかがでしょうか?
「スイッチON」というブログでお話ししているティップスも、苦手な人と話すときに大事なことかも知れませんね。
KEE’S代表 エグゼクティブスピーチトレーナー 野村絵理奈